親孝行のための「家族信託」活用事例&実践ガイド
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空家になる実家などの不動産売却

このページでは、家族信託の信託財産に、実家を含めるケースについてリサーチしています。ぜひ内容をご確認下さい。

家族信託の信託財産に実家を含める場合

新しい財産管理法として、2006年の信託法改正以降に登場した『家族信託』。すでに10年以上が経過していますが、まだ一般に広く浸透しているとは言えない状況です。

しかし、家族信託は認知症対策としてとても有効なので、知識を深めておく必要があります。親が認知症を発症する前に子供とよく話し合い、財産の一部の運用管理を任せておくことで、さまざまなトラブルを回避できるのです。

そのひとつに挙げられるのが、実家という財産の管理。例えば母がすでに病気で他界し、父が実家に独居しているという場合、実家を家族信託へ含めておくことがおすすめです。

父が認知症を発症した場合、実家に独りで住まわせておけません。介護施設への入居などを検討することになりますが、そのために決して少なくはない費用が発生することになります。

一方、実家には住む人がいなくなりますから、売却したいところ。そこで得たお金を、介護費用に充てたいと考えるのは自然な流れです。

しかし、実家の名義を持つ父が認知症を発症してしまうと、不動産売買の契約を締結できなくなります。いつまでできないのかというと、本人が死亡して名義が子供に移るまで。売買で得られるそれなりに大きな金額を、介護費用に充てられないのは、子供にとって大きな負担です。

親が認知症を発生してからあわてないよう、あらかじめ家族信託で認知症対策をしておきましょう。本ページでは、以下にその実例を紹介しています。家族信託の相談実績は年間150件を超えるという、『司法書士リーガル・パートナー』が取り扱った事例です。

アドバイザー「司法書士リーガル・パートナー」紹介

司法書士リーガル・パートナーのイメージ画像

家族信託サポートで年間150件の相談実績を誇るプロフェッショナルです。家族信託が「誰かのために無償で行うこと」が前提になっている仕組みであると考え、相談者の気持ちを最大限にくみ取った提案を展開。
年間600件以上の不動産法務関連サポートで蓄積した豊富なノウハウと、税務・法務にワンストップで対応できるネットワークを活かして、不動産取引・相続をはじめ、事業継承に至るまで、あらゆる課題解決を提案します。

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夫と過ごしたマンションは
できる限り売却したくない…

相談者は都内で別々に暮らしているAさん(82歳女性)と、その息子(58歳)。Aさんの夫はすでに他界しています。

資産は、Aさんが独居する自宅マンション(相続税評価約2,000万円)と、預貯金(約1,500万円)の合計約3,500万円。Aさんの収入は2ヶ月で約400,000円支給される年金のみです。

相談内容

この事例には、Aさんが「夫と過ごしたマンションに思い入れを持っている」というポイントがありました。「できれば売却はしたくない、一生住み続けたい。でももし、認知症になってしまった場合、子供に迷惑はかけたくないので、売却するしかない」と考えていたのです。

そのため相談~家族信託契約の実行時まで、自宅マンションを売却するかしないかの判断を保留したがっていたそうです。

司法書士・堀内先生が導いた解決方法

家族信託なら受託者に対して「賃貸・売買双方の権限」を与えることが可能。つまり売却せず、収益区分マンションとして運営するという選択肢が生まれます。

Aさんはまだ健康状態も良好なので、「将来介護施設に入所することになった時、施設の利用料や資産状況を考慮し、ぎりぎりまで自宅マンションの売却を留保すること」が可能になりました。最終的には、Aさんと息子の間で、以下のような家族信託契約が結ばれました。

この内容なら、以下の認知症対策が可能となります。

また契約期間は、Aさんの死後に発生する相続のタイミングで終了することになりました。帰属権利者は、基本的に唯一の相続人である息子。また息子に不測の事態があった場合に備え、その妻を二次受託者として家族信託契約書に明記をしました。こうして、Aさんの生活を最後まで守れる体制が整ったのです。

司法書士リーガル・パートナー代表 堀内先生の想い

お父様と苦労して購入した自宅マンションへの強い思い入れを感じるお客様でした。

そのようなお客様の、「私の生きている間は、できれば売りたくない」というご希望を、家族信託契約の内容を工夫することで叶えることができて、本当に良かったと思っています。

今後、入居する介護施設が決まり、引っ越しが完了できた段階でマンションをリフォームし、早期に賃貸することで、年金と併せながらお客様の生活を守っていけると考えています。

実家の売却をスムーズに行い、
介護施設費用に充てたい

相談者は80代女性のBさん。資産は、港区の実家の持分2分の1(相続税評価約5,000万円)と、同じく港区内の投資用ワンルーム(相続税評価約450万円)と若干の預貯金(100万円未満)です。年金の収入は、2か月で約16万円です。

相談内容

Bさんは、実家である古い木造住宅で、弟家族と同居していました。加齢につれて物忘れなどの症状が出始めたため「親から相続したこの家を売却して、介護施設に入りたい。費用面で弟家族に迷惑をかけたくない」という希望を持っていたのです。

しかし隣地との境界確定をはじめ、不動産売却の手続きが長期化しかねない事情が、いくつか重なっていました。そこで「不動産売却に伴う手続きと売却金の管理を、弟か弟の子供たち(甥、姪)に任せたい」と希望されていました。

現預金が100万円以下であり、年金収入もあまり多くはないため、介護施設に入所するために、実家の売却は必須の状況だったのです。

またBさんは「交流のない異母姉ではなく、自分の弟にすべての財産を引き継いでほしい」と希望していました。

司法書士・堀内先生が導いた解決方法

今回のケースでは、3つほど注意したい点がありました。

  1. 家族信託された物件の売却を扱った実績のある不動産会社が、皆無だった。
  2. 受託者である弟様も高齢。
  3. 異母姉たちへの対応。

1については、『司法書士リーガル・パートナー』の家族信託取り扱い実績が豊富だったため、適任と判断する不動産会社を紹介することで、問題なく対応ができました。

2について、受託者の弟はすでに75歳。そのため「受託者が77歳に達した時」に二次受託者である甥(41歳)に引き継がれるなど、受託者の変更条件をあらかじめ設定することで、対応しました。

3について、家族信託に含まない財産は、引き続き相談者個人の財産ですから、放置しておくと異母姉にも相続権が発生してしまいます。ただしこのケースでは、兄弟姉妹相続のための遺留分はありませんでした。そこで簡単な遺言を併せて作成することで、対応が可能となりました。

最終的には、Bさんと弟の間で、以下のような家族信託契約が結ばれました。

この内容なら、以下の認知症対策が可能となります。

今回のケースでは、ほとんどの資産を信託の対象としていますが、個人資産として若干の現金が残るため、公正証書遺言を作成し、弟にすべて相続させることとしました。これにより、遺留分のない異母姉たちから法的な主張がされることはなくなり、依頼者の『想い』を適えることができるようになったのです。

司法書士リーガル・パートナー代表 堀内先生の想い

短期的には「長期化しかねない不動産売却のため」、長期的には「おひとり様であるBさんの生活を支えるため」の家族信託でした。

Bさんは弟家族のためを想い、住み慣れた実家の売却を決意しました。弟様のご家族も全面的に支援し、家族信託や遺言を共に考えていく姿を見ていると、こちらもご家族の絆を感じることができました。お手伝いができて、本当に良かったです。

年齢と体力を考え
資産は長男に任せたい

相談者様は、東京都杉並区にお住いのAさん(79)と長男(53)。家族構成は、Aさんと長男のほか、Aさんの妻(77)、長女(51)、次女(48)の5人家族。子供たちはそれぞれ結婚しており、持ち家で別々に暮らしています。

Aさんの資産は、東京都杉並区の自宅(相続税評価約4000万円)と中野区のワンルームマンション(相続税評価額約300万円)、現預金約4,000万円でした。収入は、Aさんの年金が2ヶ月で約18万円、ワンルームからの家賃が付き75,000円です。

相談内容

Aさん夫婦が、杉並区の自宅に二人で暮らしているのですが、妻がすでに認知症となっており、Aさんがいつも離れずに介助をして生活をしていらっしゃいました。しかし自分の年齢と体力を考えると、これ以上負担が増えてしまうと、共倒れになってしまうという危機感を持っていました。よって、二人で入居できる介護施設を探し、妻の介助は施設に任せつつ、自分も傍を離れずに生活をしていきたいと希望でした。

また、年齢を考えると、Aさん自身も認知症になる可能性もあるため、今から資産の管理を長男に任せたいと思っています。資産の承継については、今ある資産でAさん夫婦の生活を守った後、長男にすべて相続してもらいたいとのご希望がありながらも、不公平な状況になることを懸念されています。

司法書士・堀内先生が導いた解決方法

Aさんとその長男とで、家族信託契約を結びました。対象となる財産は、Aさんの手元に残す現預金400万円を除くすべての財産です。目的は、家族信託により管理と処分を通して、お父様とお母様の負担を軽減し、安心快適な暮らしを守っていくこと。

家族信託契約は、Aさんが最初の受益者、Aさんに相続があった後は、妻が受益者になるように設計しました。これにより、受託者である長男は、もしAさんがなくなっても、Aさんの妻のために財産管理をする義務を負うことになり、「Aさん夫婦の生活を最後まで」という希望を叶えることが出来ます。なお、二次受託者は長女としました。

また、信託終了時にはすべての資産が長男に帰属することになることによる不公平感を払拭するため、一時払いの生命保険を契約し、長女、次女にそれぞれ700万円づつ、長男に250万円支払われるようにしました。

Aさんの場合、自宅はやむを得ない場合は売ってもよいとの判断で、どちらかというと自身が先に亡くなってしまった後のAさんの妻の生活を心配なさっていました。というのも、Aさんの妻はずっと専業主婦で、個人としての資産はあまり持っていなかったからです。そんな希望に対して、家族信託の「受益者連続」機能を活用する提案をしました。ここでいう「受益者連続」機能とは、当初の受益者に相続が発生した場合でも家族信託契約が存続し、新しい受益者が生まれるような仕組みを指します。これを活用することで、信託された財産に対する受益権を次の受益者が取得することができ、自身の財産で、自身の死後にどなたかの生活を支えることができます。

また、最終的には長男が信託された資産を承継することになるので、長女・次女に生命の受取人になっていただくことで不公平感の解消をすることが出来ました。信託の契約だけではなく保険などの複合的なご提案でお客様のお役に立てた良いケースでした。

司法書士リーガル・パートナー代表 堀内先生の想い

専業主婦としてAさんを支え続けた奥様。そんな奥さまが認知症になってしまい、今度はAさんが最後まで支えていくというご希望を、家族信託を使うことで実現することが出来ました。ご長男はじめお子様たちも、Aさんのご希望を受け入れ、皆さまが同じ方向を向いて協力している姿がとても印象深いご家族でした。まさに、「家族を信じて託す」素敵な皆さまでした。

よくある質問

住宅ローンが残っていても信託できますか?

抵当権が残っている住宅でも、信託財産にできます。ただし債権者から了承を得ることは必要です。
金融機関によっては、同意が得られない場合もあります。その際は借り換えを検討しなくてはなりません。

不動産を信託すると、税金がかかる?

信託財産の中に不動産が含まれて、死後にその名義を受託者や受益者に変更する場合、登録免許税、固定資産税が課税されることになります。
ただし信託による所有権移転登記の場合は、登録免許税が通常の5分の1にあたる税額で済むというメリットがあります。

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