親孝行のための「家族信託」活用事例&実践ガイド
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自己信託とは

自己信託とは、平成20年より可能になった信託の方法で、委託者自らが受託者になることです。自分の財産の決定権や裁量権を信託しながら、自分で持つことになります。一見矛盾するような制度は、将来を見越してトラブルになりそうな財産を元気なうちは自分で管理しつつ、万が一に備えて受益者を指定しておくためにあります。平成20年以前は日本で認められていませんでしたが、欧米で広く利用されていたため、「新信託法」として国内でも概念・制度について整備されるように。時代が令和に移った現在では、活用例も多様化してより使いやすい制度になっています。

自己信託のメリット

後継者へ譲渡しやすい

自己信託の大きなメリットは、法人を持っている場合に自社株を譲渡しやすいこと。後継者が決まっていても、株を自己信託することで、会社の経営権はオーナーである自分が持ったまま、株式譲渡を進められます。同時に「受益者連続信託」を行うと、自分の子だけでなく孫まで含めて受益者と定めて、内容の指定が可能に。新規事業を行なう際にも、子会社などを設立することなく事業部門を自己信託することによって、資金を調達できるメリットもあります。

自己信託のメリットを活かす利用例

「親亡き後問題」のように残された遺族の生活が不安な場合、自己信託によって不測の事態に備えることで、遺族を信託財産で守れます。親から子へ財産を贈与しても、子の疾病や障害などで財産の適切な管理・保全が難しい場合は、「自己信託」を活用すると親が管理でき、帰属権利者の指定も可能です。

財産管理にかかるコストを抑えられる

自己信託では、財産管理にかかるコストを抑えられるメリットもあります。信託銀行などを受託者にする場合にはコストがかかりますが、自己信託の場合には委託者自らが財産管理を行うので、コストを抑えられます。

しかし、信託に精通していない委託者の場合には、信託財産の管理や処分などが難しいケースも出てきます。そのようなときには、信託業務に精通した専門家などに業務を委託することも考えられます。

自己信託の手続きの仕方

自己信託の手続きは、ほかの信託と違う部分もあります。

書面または電磁記録による書類が、成立要件となります。効力の発生日時は、公正証書の場合、作成された日時、そのほかの書面の場合には受益者になるべき者に対して確定日時がある証書で通知した時点です。多くの場合、「自己信託設定書」を作成して委託者が押印、公証人役場にて公正証書を作成します。

自己信託の注意点

倒産隔離機能について

従来自己信託の場合に懸念されていたのが、委託者だけで信託財産をつくれることによる「信託財産の独立性(信託財産はほかの財産と区別して管理すること)」です。債権の強制執行の回避が可能になり、倒産隔離機能によって計画的な倒産が可能に。「新信託法」では悪用対策のため、裁判所が自己信託の取り消しを命令できるようになりました。

強制執行について

上記のように倒産隔離機能の悪用を防ぐために、自己信託には信託財産に対する強制執行の特則がつけられています。通常の信託では信託の取消訴訟をおこして、財産を委託者に戻してから強制執行をおこなう必要があります。しかし自己信託では信託設定時から2年間に限り、委託者の債権者が裁判所に取消訴訟をすることなく、信託財産に対する強制執行が可能です。

参考サイト

【対談企画】相談相手の選び方・見極め方
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家族信託で実績多数の専門家

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