親孝行のための「家族信託」活用事例&実践ガイド
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親が認知症になる前に対策を!財産管理について考える

財産管理方法の種類

超高齢社会に突入して久しい日本社会。今後も高齢者は寿命の延伸とともに増加していくと考えられています。長生きできる社会はとてもよいことですが、それに伴い財産管理も考えていく必要があります。特に近年問題となっている認知症になってからの財産管理は、対象となる本人が健康なうちに、一緒に考えるべきでしょう。そこで、いざというときに備え、さまざまな財産管理方法のメリットとデメリットをご紹介します。

生前贈与

生前贈与は、文字通り資産を生前に分け与えることです。しかし、「生前贈与」という法律用語はなく、税率面でも「贈与」と同じです。

メリット

一番大きなメリットは、生きているうちに年間110万円までの金額であれば、贈与税の課税なしにお金を渡せることでしょう。しかし、注意したいのは、100万円を15回にわたって毎年渡すなどすると、あらかじめ計画的な贈与(定期贈与)と認定され、贈与税が課せられることがあります。

デメリット

相続税と比べて基礎控除額が低く、税率も高いことです。また、一度贈与した資産を戻すことができません。

生命保険

主に死亡保険金が相続対策として活用されている状況です。認知症など健康問題のためには、終身の医療保険を付けるのも有効でしょう。力

メリット

保険金は受取人の固有財産となり、遺産分割の対象外ですから、渡したい人にお金が渡ることになります。

デメリット

加入するには、被保険者の健康状態を申告する必要があります。状態によっては加入できないこともあります。

遺言書

近年では生前に遺言書を作成する方も増加しています。遺産分割の際には大きな助けとなるでしょう。

メリット

自筆で法律で定められている必要な要素が書いてあれば、手軽に自分の意志を示すことができます。

デメリット

遺言書で指定できるのは、自分が死亡したときの資産となります。家や土地などを孫の代まで継承させたいなどの遺言はできません。

遺言書の種類

遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。

自筆証書遺言の特徴は、日付や氏名を含めすべての文について、遺言を残す人物が自筆・押印することです。専門家を通さず自分自身で作成できる手軽さは、大きなメリットでしょう。

しかし、偽装や変造のリスク、遺言書の存在を知る人物に隠されてしまうというデメリットもあります。さらに、個人で作成できるため不備が生じやすく、法的な効力がない遺言書となりやすいので、注意が必要です。

公正証書遺言は証人が立ち会い、公証人が作成する遺言書です。

専門家が遺言書を作成するため不備が生じにくく、自筆と比べてより法的に有効な遺言書を作成できます。遺言書の保管は、公証人がおこなうため隠されてしまうというリスクもありません。

ただし、公証人に依頼する手数料が必要となるため、作成コストが高額になるというデメリットがあります。

秘密証書遺言とは、遺言を残す人物が署名・押印し、遺言書に押印したものと同じ印鑑で遺言書を封印。公証人に一定の手続きをお願いすることで、作成する遺言書です。

自筆証書遺言は、遺言書の全文が自筆でなければなりませんが、秘密証書遺言の場合は、全文が自筆である必要はありません。

秘密証書遺言は、公正証書遺言と同じく公証人が保管をするため、偽装や変造、隠されるなどのトラブルがおこりにくい遺言状です。

しかし、専門家が作成するわけではないため、不備が生じる可能性もあり、無効になる場合も。さらに、公証人に対しての手続き費用も発生するため、注意しましょう。

成年後見制度

認知症などの場合に法律行為の代行をする、成年後見人を家庭裁判所が選出します。

メリット

裁判所の監督の下、資産や契約などを代行して報告の義務もあるので、安心できます。

デメリット

資産の運用や売却が非常に難しくなります。実質的には税金対策や相続税対策もできなくなるといわれています。

法定成年後見制度と任意後見制度の違い

法定成年後見制度と任意後見制度には、大きな違いがあります。

法定成年後見制度は、判断能力が不十分な人物に対し、親族や周囲の人が申し立てることで、家庭裁判所が成年後見人やサポート範囲を決定する制度です。

任意後見制度では、判断能力が不十分になる前の人物が、本人の意思で任意後見人を決定できます。

選任手続きを家庭裁判所がおこなうのは、法定成年後見制度と同じ。しかし任意後見制度では後見人になる人物やサポート範囲の決定について本人の意思でできるのが、大きな違いです。

法定成年後見人制度では、成年後見人になる人やサポートをする内容は家庭裁判所の判断になります。

任意後見

成年後見人制度とは異なり、健康なうちに自分の信頼できる人に、あらかじめ法定代理人を依頼する制度です。

メリット

自分で自由に後見人を選ぶことが出来て、その契約内容も自由に決めておくことが出来ます。

デメリット

成年後見人との比較でいえば、契約の取り消し権がないことです。悪質な契約をしてしまっても、法律的に取り消せません。

財産管理契約

第三者と委任契約を結んでおき、判断能力が衰えたときに資産の管理を任せる契約です。

メリット

契約の内容を自由に決めることが出来ます。資産の全部、あるいは一部か、処分方法なども決められます。

デメリット

家庭裁判所などは関与しませんので、監督体制に不安が残ります。また、公的立場ではないので、手続きが認められない場合もあります。

家族信託

認知能力が十分なうちに、家族に資産の管理を任せることが出来ます。

メリット

任せる資産や管理方法、処分方法まで、自分で自由に設定することができます。不動産の売買なども設定しておけば可能となります。なによりも、財産管理を家族に任せられることが大きなメリットです。

デメリット

入院や介護施設への入所など「身上監護」ができません。また、本人に代わって、契約などの法律行為をすることもできません。

認知症になった場合の相続対策とは

本人の判断能力が著しく低下する認知症になってしまうと、財産の相続に関する話し合いが困難になります。

その場合、大きな問題となるのが相続に関することでしょう。

認知症になってしまった場合、相続対策は極めて難しくなります。たとえば、親が認知症を発症後に実家を売却したい場合、所有者である親の意思を確認できないと売却はできません。

不動産の売却・建て替えは
成年後見制度ではできない?

判断能力がすでに衰えてしまった人を対象にした成年後見制度では、後見人が介護施設への入居の手続きや預金の入出金などをすることが可能です。

しかし、後見人の役割やあくまで財産を守ることであって、財産の運用や処分はできないようになっています。そのため、いくら後見人であるからとは言え、不動産を売却したり建て替えたりすることができないのです。

認知症対策による財産管理に乗り気でない家族を説得するには?

今後の話をしておく

認知症やそのほかの疾病により判断能力が低下すると、口座は凍結されて年金さえ受けとれないことがあります。親自身が希望する形で財産を管理するためにも、「万が一」の事態に陥る前からよく話あって、相続について決めておくことがベストです

しかし、例え将来の健康について不安に思っていたとしても、突然家族から「認知症になるかもしれないから…」と現実的な話を出されると、親は不快な気分になる場合もあるでしょう。そのため伝え方には配慮が必要です。

本来家族信託は残される家族の平穏な暮らしを守るために備えておくための制度で、家族の愛を形にしたようなもの。1回だけの話し合いで無理に事を進めようとせず、親の心情も組みながら段階的に決めていくのも良いでしょう。

メリットとデメリットをしっかりと伝える

財産管理の話を進めるときに大切なのは、メリットとデメリットをしっかりと伝えることです。「こうすれば家族が助かる」とメリットばかり強調するのは、おすすめできません。財産管理には費用がかかることをはじめ、デメリットの部分も正しく伝えて、判断してもらいましょう。

専門家の話を一度聞いてみる

家族で話し合ってみて、少し気持ちがほぐれてきたら、専門家の話も一度聞いてみましょう。財産管理に関してはあまり馴染みがない場合でも、わかりやすく説明してくれますので、メリットとデメリットがさらにはっきりして、今後家族で話し合うときにも大いに役立つでしょう。

参考サイト

【対談企画】相談相手の選び方・見極め方
【対談企画】相談相手の選び方・見極め方

監修者イメージ

家族信託で実績多数の専門家

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