親孝行のための「家族信託」活用事例&実践ガイド
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契約書の書き方

このページでは、家族信託の契約書について調べています。

家族信託の契約書とは

家族信託では、委託者の財産の実質的な管理を、受託者に任せることとなります。「家族間での取り決めなのだから、契約書など不要」と考えるかもしれませんが、以下のようなトラブルも考えられます。

  • 委託者に複数の子供がいた場合、受託者以外の子供たちから不満が出ることも。委託者の生前は紛争を抑えられても、死後に契約書が残されていなければ、証明の手立てがない。
  • 受託者を信頼して財産を預けたら、勝手に転用されるなどの裏切りに遭う。

委託者本人や、善意の受託者を苦しめないために、やはり契約内容をきちんと書面化しておく必要があります。

契約書は誰が作るべきなのか

家族信託の契約書を、委託者自身が作成することも可能です。しかし信託に関する契約書の作成には、専門知識が必要。素人が書式に則らず、書き殴ったものに判だけ押しても、信ぴょう性が疑われてしまいます。

例えば家族信託が原因で何らかのトラブルが起き、裁判に持ち込まれた場合、契約書の内容は大きな争点となります。法的な効力を発揮する事項に抜け漏れがあった場合、公的な書類と認められず、家族信託自体が無効とされてしまう可能性があるのです。

このため作成は、専門家の手にゆだねる必要があります。

まず当事者の間で話し合いを重ね、契約内容をまとめます。そのうえで弁護士や司法書士に相談し、契約書化してもらうのです。さらにその契約書を公証役場へ持ち込み、公正証書としてもらえば、完璧。原本は20年間公証役場に保管されますので、写しを取得することも可能となります。

なおこれらの作成には、合計で50万円以上の費用が必要となります。

家族信託の契約書に記載すべきこと

家族信託の契約書には、いくつかの必須記載事項があります。以下に見ていきましょう。

  • 契約の趣旨
  • 信託の目的
  • 委託者の氏名
  • 受託者の氏名
  • 受益者の氏名
  • 信託財産の詳細

以下に、簡単なひな型を紹介します。

信託契約書

委託者:鈴木一郎(以下、甲)及び受託者鈴木二郎(以下、乙)は、本日、以下の通り信託契約を締結する。

第1条(本契約の趣旨)
委託者甲は、受託者乙に対し、第2条記載の信託の目的を達成するため、第3条記載の財産を受託者乙に信託し、受託者乙はこれを引き受けた。

第2条(信託の目的)
本信託は、受託者による資産の適正な管理、保全、運用、処分を通じ、委託者甲の判断能力が低下したとしても、また甲が死亡した後においても、信託された財産を守り、併せて受益者及びその家族の生活の安定に寄与すること、さらに資産の円滑な承継をはかることを目的にする。

第3条(信託財産)
本契約で定める信託財産は、以下のものとする。

上記のひな型には、必要最小限の内容しか含まれておりませんので、あらかじめご承知おきを。また信託財産に不動産が含まれる場合、その内容はさらに複雑になり、専門家のサポートが必要不可欠となるでしょう。

なお家族信託は、まだ歴史の浅い財産管理法です。弁護士や司法書士の中でも、取り扱い実績の多い専門家の数は少ないので、依頼先は慎重に選びたいもの。本サイトでは、家族信託の専門家の選び方・見極め方について紹介していますので、内容をご確認ください。

家族信託契約書を作成する際の注意点

契約書は公正証書にする

家族信託は当事者同士の契約のみで成り立ちますが、後々のトラブルを防ぐためにも公正証書の作成をおすすめします

家族信託では財産を管理するために長期での契約を結ぶのが一般的です。公正証書を作成しておかないと、契約内容の解釈や適用について相続人同士で乖離が生まれる可能性があります。相続に関するトラブルを未然に防ぐためにも公正証書を作成するのが良いでしょう。

ほかにも契約書の公正証書化には以下のようなメリットがあります。

公正証書を作成する際のデメリットとして手数料3〜10万円程度の費用がかかります。手続きや証書の作成同行を専門家に依頼すると、さらに費用が必要です。

ひな形を参考にし過ぎない

2007年に始まった家族信託の認知度が上がるにつれて、インターネット上には契約書作成に関するひな形が出回るようになりました。ひな形を参考にすることで、個人でも法的に正しい家族信託の契約書を作成できます。

しかし、ひな形に従って全ての項目を埋めるのはおすすめしません。家族信託の契約書を作成する前には綿密な打ち合わせが必要です。専門知識のない方がひな形だけを参考に契約書を作成した場合、本人の意思通りの内容で作成できていない可能性があります。

また誤りのない契約書が仕上がったとしても、相続税についての理解が不足したまま作成することで、後々多額の相続税が発生する可能性もあるのです。

ひな形を参考にして個人で契約書を作成せずに、費用がかかっても専門家に依頼するのが良いでしょう。

公正証書を作成した方がいい理由

家族信託は、不動産を信託しないのであれば公的手続きは必要ありません。民法上の契約なので、当人の間で契約すれば良いのです。しかし、ほとんどのケースでは公証役場に出向いて「公正証書」を作成します。費用をかけてまで作成するべきメリットについて解説します。

第三者が入ることで家族信託の成立を証明してくれる

公正証書は「公証人法」という法律に基づき、法務大臣が任命した公証人が作成する公文書です。公証人は元裁判官や検察官などの法律家がつとめ、公正証書には法的な「証明力」と「執行力」があります。家族信託の契約書は法律上、公正証書にしておかなくても有効です。しかし、その契約によって不利益を受ける人から、「認知症になってから無理に書かせた、不当な契約である」「契約書が偽造されている」などの申し立てがあるかもしれません。

そのようなトラブルが発生した際に効力を発揮するのが公正証書です。第三者の公証人が入ることにより公文書としての効力を持っているため、いくら申し立てがあったとしても、法律的に有効性を証明してくれるのです。

家族信託の原本を公証役場で保管できる

公正証書を作成すると、原本は公証役場で保管します。つまり手元に保管されるのは、あくまでも「写し」です。もちろん写しでも法的には効力はあります。また万が一紛失してしまっても、原本は保管されているので、再発行の手続きができます。ただし保管期間は原則として20年間と定められているので、それを超える場合には注意が必要です。

プロの目で契約内容を確認してもらえる

法律にあまり詳しくない家族間の契約の場合には、契約の文章が適切でない場合もあります。文章によっては、思っている法律的な効力が生じない、逆に思わぬ効力が発生してしまう可能性も。公正証書を作成する場合には、公証人が契約書に目を通すことになります。法律のプロである公証人にチェックしてもらうことで誤解を招く文章を修正できるため、トラブル回避に繋がるでしょう。

金融機関での信託口座の作成がスムーズになる

家族信託で現金を信託すると、家族信託専用の銀行口座が必要になります。これは、受託者が信託財産と自分の財産を厳密に分けて管理することが義務付けられているからです。しかし、家族信託という制度はここ数年で注目されてきた制度なので、銀行側が口座開設に協力的でないケースも。そのような場合でも公文書である公正証書を提示すれば、口座開設に協力してくれる可能性が高まります。

公正証書に必要な書類

公正証書を作成する際には、どのような書類が必要なのでしょうか。必ず必要なのは、本人であることを証明するための書類です。以下のいずれか1点を持参してください。

当事者が公証役場まで行ける場合は上記の書類だけで本人確認できますが、代理人が対応する場合は以下の書類が必要です。

家族信託の契約者をプロに依頼するべき理由

書籍やネットで紹介されているひな形を参考にすることで、家族信託の契約書を自分でも作成することも可能です。しかし専門知識がない状態で作成することは難しく、不備や誤った記述によりトラブルに繋がる可能性もあります。そのため、法律のプロに依頼することが一般的です。

個人で作成するには難易度が高い

家族信託の契約は、適用される法律も多岐にわたり、非常に難易度が高いものです。司法書士や弁護士といった法律のプロにとっても、勉強をしないと完全に理解することが難しいといわれています。ですから、個人で完璧な契約書を作成することは、非常にハードルが高いといえます。

家族信託にかかわる諸手続きをお願いできる

家族信託の契約をいちから司法書士や弁護士に依頼すれば、さまざまなアドバイスをもらえます。公正証書の作成をはじめとした諸手続きも代理人としておこなってくれるので、自分で役所へ出向く手間や時間が省けます。

その人にあった家族信託を提案してもらえる

家族信託の契約内容は、「こうしなければいけない」という規制がありません。その家族、その人に合った契約内容が設定できるのです。法律のプロに依頼をすれば、これまでの経験やノウハウを活かしながら将来的なことも考慮して、最適な内容を提案してくれるでしょう。

専門家に依頼した場合にかかる費用

不動産を含めるか含めないかで変わる

司法書士や弁護士など、法律の専門家に家族信託の契約を依頼した場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。もちろん、財産の内容や依頼先によって費用は変わってきますが、相場は以下のとおりです。

これは、不動産がある場合には登記内容の変更などがあるためです。

契約書作成のパートナーを選ぶには?

家族信託の契約書の作成は弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。

しかし家族信託の歴史は浅く、実務経験が豊富な専門家はまだまだ少ないのが現状。家族信託の知識はあっても実務経験に乏しい専門家に依頼した場合、契約書に不備を残したまま契約が開始してしまう可能性があります。

また家族信託のパートナー選びでは弁護士や司法書士だけでなく、税理士の存在も忘れてはいけません。契約書を作成する前に税理士に内容をチェックしてもらうことで、家族信託にかかる税金の試算も行えます。

家族信託の契約書作成を専門家に依頼する場合、豊富な知識だけでなく実務経験の有無も確認しておく必要があるでしょう。

参考サイト

【対談企画】相談相手の選び方・見極め方
【対談企画】相談相手の選び方・見極め方

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家族信託で実績多数の専門家

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