親孝行のための「家族信託」活用事例&実践ガイド
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要介護認定を受けている場合は家族信託を利用できるのか

信託は契約であり、当事者の判断能力は必須

家族信託は成年後見人制度と違い、委託者と受託者という二当事者が行う「契約」という法律行為です。契約は当事者同士の意思の合致さえあれば成立するもの。実務上はさておき、法律上は特に明記のない限り、公正証書での作成も双方が署名押印した契約書も不要なのです。しかし意思の合致が何より大切で外せません。そして合致の意思表示をするには当事者に「判断能力」がなければなりません。

では、当事者の片方(※家族信託の場合はほぼ委託者の方となるでしょう)が既に要介護認定を受けている場合、信託契約を結び、利用していくことは可能なのでしょうか。

介護認定は「判断能力」の有無を決めるものではない

介護認定は要支援1・2、要介護1~5の7段階に分かれています。この認定方法は介護保険制度で用いられているもので、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に認定を受けます。介護認定の度合によって、受けられる介護サービスが変わります。「認知症」というキーワードが出てくるので少し身構えてしまいますが、要介護の中には身体能力に問題があるものの、判断能力はある方も含まれます。すなわち、必ずしも要介護の段階が高いから契約行為ができないという訳ではないのです。

判断能力は医師が決めるものでもない

もちろん成年後見制度を利用するときは、医師による認知症の診断書が必要な場合もありますが、家族信託において「委託者は認知症ではない」という医師の証明は不要です。契約時に医師が立ち会う必要もありません。何らかの目安としたり、他の家族が疑いを持たないようにあらかじめ示しておいたりするのに役立つかもしれませんが、委託者本人に判断能力があるかどうかを一番良く分かっているのは、そばにいる家族に他ならないからです。

完璧な判断能力が求められている訳ではない

家族信託契約は、委託者の預貯金や不動産などの様々な財産を受益者のために管理するという複雑な内容を有するものであり、これらの全てを正確に理解することは難しいことだと思います。したがって、信託のだいたいの仕組みや自分のどの財産を誰に託すか、その目的やメリットは何かがきちんと理解できていれば問題なく契約を結べるでしょう。

ただし、これらの内容の信託を行いたい、という意思が一貫していることが大切です。何度か期間を空けて意思を確認した時に、とりわけ「どの財産を誰に」の部分がぶれていなければ、少なくとも信託を行うに足る判断力があると言えるからです。これらのチェックは家族だけでなく、信託の専門家に行ってもらうことがお勧めです。第三者が誘導することなく、必要な質問を行うことは、判断能力の確認の信頼性を高められます。

仮に認知症の診断が出されていたとしても、上記の要件がクリアできそうであれば、あきらめずに家族信託を検討してみてはいかがでしょうか。

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家族信託で実績多数の専門家

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