親孝行のための「家族信託」活用事例&実践ガイド
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家族信託にかかる税金

このページでは、家族信託にかかる税金について調べています。

家族信託は、生前贈与の際に発生する課税金額を抑制するのに役立ちます。しかし財産管理方法であることには違いありませんので、利用の際に税金が発生するか否かは、大いに気になるところです。

以下に課税の可能性が考えられる税金について、紹介していきましょう。

贈与税

家族信託では原則的に、財産の権利は委託者にあります。しかし何らかの理由で、生前に受益者へ権利を移す場合は、贈与税が発生することになります。

その課税額は、一般的にかなり高めとなっています(例:300万円以上400万円以下で20%)。

相続税

委託者が死亡し、受益者に財産の権利が移った場合、その時点で相続税が発生することになります。

所得税、法人税、譲渡所得税

委託者の財産の中に不動産が含まれていて、死後にその売買を行った場合、これらの税金が発生します。

登録免許税、固定資産税

委託者の財産の中に不動産が含まれていて、死後にその名義を受託者や受益者に変更する場合、これらの税金が課税されることになります(委託者の生存中は、受託者/受益者に課税されることはない)。

ただし信託による所有権移転登記の場合は、登録免許税が通常の5分の1にあたる税額で済むというメリットがあります。

実際に課税されるのは誰?

家族信託には委託者、受託者、そして受益者の3者が存在します。受託者とは「委託者に代わり、財産を管理する人」。そして受益者は「財産の収益を受け取る人」です。

例えば受託者と受益者が同じ人物、というケースが考えられます。息子が父親から財産管理を委託され、生前から受託内容を実行するのです。この時点で、受託者に何らかの税金が課税されることはありません。収益はあくまで委託者のものですから、課税されるのも委託者なのです。

税金が課税され始めるのは、委託者が死亡し、受託者が「財産の収益を受け取る人」となってから、と考えておけば良いでしょう。

とは言え、委託者の死後に相続税が発生するのは、通常の遺産相続と同じ。つまり、家族信託に目立った節税効果はありません。不動産などの財産を相続する際、登録免許税が節税できる程度です。

節税のため家族信託を始めても、実際にはあまりメリットを感じられない結果となりそうです。

家族信託における贈与税の課税

家族信託では、委託者から受託者へと信託財産の所有権が移転します。親が委託者、子が受託者の場合、信託財産を贈与したとみなされるのでしょうか?

ここでは、贈与税の課税対象者と贈与税が課税されない場合について説明します。

贈与税が課税されるのは受益者のみ

家族信託において、贈与税の課税対象者は基本的に受益者のみです。日本の税務では「受益者負担」が原則で、実際に利益を受けた人に税金が課税されます。

ここで簡単な例をあげてみましょう。家族信託で父親が不動産を子に委託して管理と運営を任せ、家賃収入などの利益を母親が受け取った場合、受益者は母親となります。このケースでは信託財産の所有権は委託者である父親から、受託者である子へと移転。信託財産の価値である受益権は委託者である父親から受益者である母親へ移転しています。

家族信託の受託者は信託契約の内容に沿って、信託財産の管理や運営をしますが、実際に利益を受け取るわけではありません。このため、受託者である子には贈与税が課税されないのです。

家族信託の受益者の立場から見ると、信託財産の価値である不動産収益を委託者から贈与されたとみなします。仮に受益権の譲渡を第三者に無償で行った場合には、新たな受益者が利益を受け取った時点で贈与税が課税されます。なお受益権は売買も可能です。無償の場合とは違い、有償譲渡は元の受益者に課税されます。

贈与税が課税されない場合とは?

家族信託では贈与税が課税されないケースも存在しています。それは委託者と受益者が同一人物の場合です。

家族信託では委託者から受益者へ贈与があったとみなすのが基本的な考え方です。例えば、父親が不動産を子に委託して管理や運営を任せ、父親自身が家賃収入を受け取った場合、受益者は父親となります。父親が信託財産の委託者であり、受益者でもあります。同一人物間での収益の受取は贈与にあたらず、贈与税は課税されません。

家族信託における相続税の課税

家族信託では受益者の死亡を原因として受益権が移転した場合に相続税が課税されます。

家族信託には、次の信託財産の受益者をあらかじめ指定できる跡継ぎ遺贈型受益者連続信託があります。委託者を一時受益者とし、委託者が死亡した場合に二次受益者に受益権が移転するように設定するもの。この場合、二次受益者は受益権の相続者とみなされ、委託者が死亡した時に相続税が課税されるのです。

家族信託における所得税の課税

ケース1:信託財産から得られた利益には所得税がかかる

家族信託の契約期間に発生した収益については所得税がかかります。例えば信託財産が不動産である場合、賃貸アパートの家賃収入土地を売った際の収益は不動産所得です。この不動産所得に対して所得税が課税されます。

家族信託において、所得税の課税対象者となるのは実際に収入を受け取っている受益者です。委託者が受益者である場合は委託者が、委託者以外の第三者が受益者である場合には第三者が所得税を納税しなければなりません。

ケース2:受益権を売買した場合には譲渡所得税がかかる

家族信託では受益権を売買した場合に、譲渡した側に譲渡所得税が課税されます。これは受益権を有償で譲渡すると、譲渡した側に譲渡益が発生するからです。

受益権には価値があり、資産として売買できます。受益権の売買後、信託財産により収益が発生した時点で、新たに受益権を譲り受けた受益者に所得税が課税されます。

家族信託における不動産を受託した場合の課税

家族信託の期間中は不動産取得税がかからない

家族信託を設定した時点から契約期間が終了するまでの間、受託者に不動産取得税はかかりません。信託財産が不動産である場合、委託者から受託者へと不動産の所有権が移転します。この時に名義変更と信託の登記を行うのが通常です。

通常では不動産を取得した場合、その不動産の価値の3%を不動産取得税として納税する必要があります。しかし家族信託において、受託者は登記簿上の形式的な所有者でしかありません。このため、実際に不動産を取得しているわけではなく、不動産取得税が課税されないのです。

家族信託の契約終了時や解除時には不動産取得税がかかる

家族信託に契約の終了、または契約が解除された際に、不動産取得税が課税される場合があります。

基本的に、家族信託の期間中には受託者に不動産取得税は課税されません。家族信託では、信託契約が終了または解除された場合に、残っている信託財産の所有者となる帰属権利者をあらかじめ指定できます。受託者が帰属権利者に指定されていると、残余財産の所有権が受託者に移転した時点で不動産取得税が課税されるのです。

帰属権利者が指定されていない状態で信託契約が終了・解除された時は、残余財産が委託者に復帰します。

不動産の受託者には登録免許税と固定資産税が課税される

信託財産が不動産であった場合、受託者に不動産取得税は課税されませんが、登録免許税と固定資産税は必ず課税されます。

不動産の家族信託では、委託者から受託者へと所有権が移転する際に、所有権移転登記と信託登記を申請しなければなりません。登記の申請は法務局で行い、登記を申請する時には登録免許税を納める必要があります。登録免許税は固定資産評価額の0.4%と定められています。家族信託において、同時に申請する所有権移転登記については非課税となっています。これは所有権の移転が形式的なものであるからです。

不動産を所有していると必ず固定資産税が課税されます。家族信託における形式上の不動産所有者は受託者です。固定資産税の納税義務は受託者にあり、納税通知書は受託者宛で届けられます。

しかし、信託不動産の固定資産税は信託財産の管理費用から支払うことが認められています。このため、不動産の所有権利者である受託者が必ずしも固定資産税を自分の財産から払う必要はありません

家族信託で税金の課税額を抑えるには?

家族信託で税金の課税額を少しでも抑えるためには、信託財産の受益権を移転するタイミングがポイントです。

日本の税務では、贈与額が年間110万円を超えると贈与税を課税されます。だいたいの目安ですが、1,000万円前後の贈与額に対して30〜40%の贈与税がかかります。これは家族信託で課税される税金の中でも高い税率です。

これに対して、相続税には3,000万円以上の基礎控除額が設けられています。相続によって信託財産の受益権を移転した場合、基礎控除額の計算方法は3,000万円+600万円×法定相続人の数。この額までは、控除を受けられます。

例えば信託財産による収入の額が年間3,000万円の場合、3,000万円以上の資産に対する贈与税の税率は55%なので、課税される贈与税は1,650万円。相続によって受益権を得た場合の相続税には3,000万円以上の基礎控除があるので、税金が課税されません

このように、贈与税よりも相続税の方が課税額を抑えられるのです。受益権の移転については、受益者の死亡時に相続するのがベストでしょう。

家族信託では委託者=受益者とし、委託者が死亡した時点で受益権を相続人に移転するようにあらかじめ設定できます。

高齢者の認知症対策としての家族信託

【ケーススタディ】認知症や疾病に備えて家族信託を行う場合にかかる税金

現在80歳の父親は賃貸アパート一棟を所有しています。 父親の健康状態はとても良いのですが、80歳という年齢を考慮すると、将来的に認知症や疾病によって所有する不動産の管理ができなくなる可能性も。そこで父親は、所有するアパートの管理を息子に任せたいと考えました

一方で、息子は高齢の父親が所有する賃貸アパートの管理を手伝っており、父親に何か起こった時に賃貸アパートをどのように処分するのかと気にかけています。

父親からは将来的に賃貸アパートの管理を全面的に任せたいと伝えられていますが、不動産の名義が父親のままでは息子自身の判断で財産を処分できません

また仮に父親が認知症や疾病にかかった場合、父親の預金を治療費に充てようと考えても、預金口座が凍結されてしまっては治療費や通院費などが賄えないのではないかと心配しています

認知症対策として家族信託を締結するメリット

上記のケースの場合、父親が元気なうちに家族信託を締結しておくと安心です。

父親を委託者・受益者、息子を受託者、賃貸アパート一棟と父親名義の預金口座を信託財産として、父親と息子の間で信託契約を交わします。

家族信託では当事者間で何を信託財産とするのか、信託財産の管理・処分などをどのように行うのかを予め決められます。

このため、父親が認知症を患い判断能力がなくなってしまっても、賃貸アパートから得られる収益や父親の預金口座を生活費や治療費として充てることができるでしょう。

財産の所有者が判断能力を失った場合、後見制度を利用することが一般的です。しかし、後見制度は所有者が財産を維持し続けることが求められ、不動産の売買が認められていません。資産の運用や不動産の売買が可能であるという点で、家族信託の締結がおすすめです。

認知症対策の家族信託でかかる税金

今回のケースで課税される税金は登録免許税と固定資産税のみです。

登録免許税は信託の登記にかかる税金で、信託財産の固定資産評価額の0.004%です。今回のケースでは信託財産が不動産ですが、信託財産が土地の場合には2021年3月31日までは0.003%の特別措置があります

固定資産税は不動産の所有権を移転した翌年以降に、不動産の名義人である受益者へ通知されるもの。固定資産税の支払義務は受託者である息子にありますが、信託財産に関する費用として不動産の収益から受託者が支払うことになります。実質的な負担社は受託者ではなく受益者である父親になるのです。

家族信託は専門家に相談するのがベスト!

家族信託は、施行されてからまだ歴史の浅い制度であり、相談可能な専門家の数は少ないので、慎重に選びたいもの。本サイトでは、家族信託の専門家の選び方・見極め方について紹介していますので、ぜひ内容を確認してみてください。

参考サイト

【対談企画】相談相手の選び方・見極め方
【対談企画】相談相手の選び方・見極め方

監修者イメージ

家族信託で実績多数の専門家

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